ドラゴソボール7~『関東全県のソウルフードから一味ずつ、最強の七味唐辛子』を作る旅~

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キング・オブ・スパイス、七味唐辛子。実はそのレシピは決まっていない。主に鷹の爪や海苔、ごま、陳皮などが入るが、基本的には何を入れても大丈夫なのだ。

思えば、僕も住む関東地方には一都六県、つまり7都道府県ある。ならば県ごとのソウルフードから一味ずつピックアップすれば、究極の七味唐辛子ができるのでは!?ドラ◯ンボールを7つ集めるように。

そこで「七味唐辛子としてガチでウマくなりそうな食材を選ぶ」とルールを定め、青春18きっぷを買って旅をスタート。

 

☆1:神奈川、古くて新しいあのニューラーメン

まずは神奈川。神奈川といえば一にも二にも横浜中華街だが、地元民の間ではさらに親しまれているとも言われるソウルフードがある。そのニュータンタンメン本舗の総本山が、川崎にある。

インスパイア系を出す店を含めると、神奈川県内でゆうに170軒ほどがこの種のラーメンを提供する、正真正銘のソウルフード。そして程なくして(ニュー)タンタンメン(750円)がやってきた。

醤油味でも味噌味でも塩味でも無い、「辛味(からあじ)」とも言うべき風味。シンプルに辛い。熱くなって、汗がジワッと湧く。具材はほぼ溶き卵だけ!卵のマイルドさが辛さをおいしく軽減する。

そして底に大量に沈んだゴロゴロニンニクが、口臭が気になる人のブービートラップになっている、実に強烈な一杯。当時の東京のあっさりラーメン文化に、鉄槌を叩き込んだ神奈川のパンチフードを完食し、店を後にした。

それを受けてやってきたのは、中華街とはうって変わって韓国食材店が多い、新横浜商店街。

ここで売っているのが、ニュータンタンメンが実際に使う唐辛子では?と、マニアの間で有力視される唐辛子。竹原食品の韓国料理用唐辛子だ。

川崎市民ヨダレモノの一品を購入し、まず神奈川をクリア!

 

☆2:埼玉、スタミナラーメンと餃子の香ばしさの正体は

横浜を出て、根岸線と東海道本線を乗り継ぎ一気に埼玉まで北上。着いたのは大宮駅。

さいたま市界隈には、10店舗ほどで提供される『スタミナラーメン』なる隠れ名物がある。さらに影のソウルフードが、そこで出す『餃子』らしい。

それを提供する歴史的名店の一つが、大宮駅ほど近くにある、漫々亭2丁目店。

「いらっしゃい!寒かったでしょう!」ご主人の接客に心を温めながら、まずはスタミナラーメン(500円)が着丼。

餡だけで、まるで具が無い潔さ。そんなスタミナラーメンを食べると、舌に醤油餡の濃い味が直撃。あんかけの食感と相成って味わい深い。麺は中細で、一気にスルスルいける続いて焼き餃子(300円)「今日の餃子は珍しくうまく焼けたよ!」というご主人の正直なコメントとともに到着。

キレイでカワイイフォルムの餃子。食べると、独特の香ばしさが楽しい。漫々亭マニアらによると正体は「八角」という中華食材。これが入った餃子こそ、埼玉の影のソウルフードなのだ八角は先のスタミナラーメンにも入っている説もある)。皮も薄く、すぐ剥がれて中身が見えるほど。

それでは、餃子に使われていた「八角」を手に入れよう!とするが、哀しいことに大宮の中国食材店の多くが閉店に追い込まれ、八角を売る店が見つからない。だが、何とか駅前地下1階のそごうのスーパーでゲットした。

群馬に行く前にかなり時間を使ってしまった。今日じゅうに栃木には着いておきたかったが、気を取り直して群馬方向へ向かう高崎線へ乗り込む。列車内で税込3300円で泊まれる「前橋さくらホテル」をネット予約し、いざ前橋へ。

 

☆3:群馬の消え行くソウルコンビニ、セーブオンが遺したゴマ

前橋駅に降り立ったのは22時ごろ。駅前はビックリするほど何も無い。そんな中、群馬県民魂のコンビニチェーン『セーブオン』を見つけた。

激安商品で知られる庶民派コンビニセーブオンは17年2月末現在で501店舗を数えるも、実はすでにローソンに全て転換されることが決まっている、消え行く運命だ。ここで良いものを見つけた。七味唐辛子には欠かせない、ゴマだ。

ブランドとうふ店「三代目茂蔵豆富」の商品を置くことは、セーブオンとしては生き残りを賭けた策の一つだったらしい。だが、ローソンに転換した店舗に約1.3倍もの売り上げ差をつけられるなど、群馬の熱愛コンビニだったセーブオンは、もう群馬県民の心すら、繋ぎ止められなかった。

「ローソンに負けたくない」そんな一縷の望みが込められていたゴマ。そんなゴマの味を群馬代表として七味に入れる事で、セーブオンの記憶を舌にとどめておきたい。(あと、早く群馬は通過しないとこの企画が終わらない)

そしてホテルへ到着。3300円でこの部屋に泊まれるのが大ラッキーと思える広々とした部屋。

WBCをチラ見しながら、一緒に買ったセーブオンPBラーメンとお酒を頂く。

ちょっとラーメンにゴマを入れて食べると、その香ばしさで100円レベルの味→130円レベルの味まで高めてくれる。これは七味唐辛子に入れても良い仕事をしてくれそう。

 

☆4:栃木宇都宮のもう一つのソウルフード、やきそばを攻める

翌朝は7時前に起床。カーテンで気づかなかったが、意外と眺めも良い部屋だった。

そして7時18分発の列車に猛ダッシュで飛び乗り、ひたすら両毛線に揺られる。

とにかく、長い長い道のり。山をバックに、関東平野の広さのあまり、この旅の無謀さを後悔させるような田園風景が広がる。日本は狭いって言うけど大きいなあ。

そんな車内での長旅の中でも、次の七味候補のリサーチを進める。そしてようやく・・・宇都宮駅に到着。

明らかに前橋より開けている駅前から、目的地へ向かう。宇都宮やきそばの代表的名店の一つ、あおやぎやきそばへ。

卵入り焼きそば大盛り(500円)を頼んだ。

そして、かけ放題の青海苔をドンとかけて頂く。

東京人の焼きそばの概念をアッサリ覆す太麺。モッチモチやぞ!

さらに宇都宮やきそばは「あとがけソース」もあり、好みでかけられる。最初から十分味がついているが、かけると味変で2倍楽しめる。キャベツと太麺の食感を最後まで堪能しながら、美味しく完食した。七味に入れるものが決まった。青海苔だ。

ちなみに、唐辛子を炒る際は「ごま油」が普通だが、宇都宮餃子に使う「ラー油」で炒ると、また違った味わいが出るのではと思い、名店も軒並み加入している「宇都宮餃子会」の特製ラー油を購入。

 

☆5:茨城の那珂で、地元民に長年愛されるショックフードとご対面

宇都宮を後にし、茨城へ。一旦小山駅へ戻り、そこから水戸線で友部駅へ、さらに常磐線で水戸駅へ…という、「2時間弱かかるけど、青春18きっぷルートでは最短のコース」で向かった。

ゆっくりゆっくり進む鈍行列車に心が100万回くじけながら、水戸駅到着。そこからさらに、超ローカル線である水郡線に乗り換え、上菅谷駅へ到着。ここには約40年前から広まり、付近の10店以上が提供する隠れソウルフード「納豆かつ」の元祖店「まつば」がある。

お店の休憩時間を知らず、45分ほど外で待つ悲劇を乗り越えて入店。納豆かつ(1200円)とライス・みそ汁・漬物セット(300円)を注文。

午後休憩が終わった直後に入店したためか、20分ほど待って着丼。これだ。

噂には聞いたが、ナマで見るといっそうショッキング。納豆嫌いが見たら精神的ブラクラレベル。全体的にボリュームも凄い。こりゃ勢いで食べなきゃ負ける、とバリバリ食べる。・・・ホント、美味い!

カツに納豆の濃厚な旨味が乗っているから、ソースをかけなくても十二分に美味しい。カツ自体が分厚く、噛み切りやすく、豊潤で美味しく、納豆も美味しいから、納豆とカツのコンビが最高のかけ算だ!

ライス、みそ汁、漬物もバッチリ美味しく、最高に美味しい時間を堪能した。これは生涯ベスト10に入る一食だ!

笑顔のステキなマスターにその美味しさを力説し、若干引かれながらも「ありがとうございます、また来てください!」と爽やかな挨拶に見送られ、店を出る。やはり七味に入れる食材は納豆で決まりだ!

そして茨城県民伝統のローカルフード、だるま食品の干し納豆を買って茨城を後に!

 

☆6:千葉県産の甘夏を手に入れるため、ひたすら南下する

ここまで来たら買っておきたいのが、七味には欠かせない「陳皮」的な食材だ。「みかんの皮」を使う陳皮のように、何か柑橘系のものが欲しい。それを一番手に入れやすそうな千葉に望みを託した。

鮮度が命の柑橘類は、ぜひ地元千葉県産が良い。・・・しかし当時は3月中旬。いくら千葉でもオフシーズンで、四方八方に電話をかけるも、千葉産を置いているお店は皆無だった。

だが何とか、わずかながら千葉産の甘夏みかんがある所が見つかった。市原市にある「道の駅あずの里いちはら」だ。明日は9時から開店するという。遠いけど行こう。行かないとこの企画が終わらない!

特急を降りた柏駅から新松戸駅、南船橋駅と「青春18きっぷならではのJRに固執するルート」を乗り継ぎ、千葉を南下、南下。そして市原市の中核駅、五井駅に到着。

駅から徒歩10分強ほどにある、下流生活者からは「まあまあ安い」と評判の漫画喫茶ゲラゲラを宿にすることにした。

フラットシートだが、深夜に周りの席の「謎の大爆笑連発」などもあり、寝苦しい夜を過ごした。3時間半位しか寝られず、15分延長分を含めた、1682円程度のお金を払って店を出る。

五井駅のドトールで時間を潰し、そこから首都圏のどローカル線・小湊鉄道に乗車。

 

上総三又駅に到着。駅の周りに店はゼロ。人口28万人の市原市だが、正真正銘の田舎駅だ。ここから2.2kmもの道のりを延々と歩く。

やっとのことで道の駅あずの里いちはらへ到着。

あった!千葉・市原産の甘夏みかーん!

外でひとり食べてみると、舌をはじくような新鮮な酸っぱさ。春の到来を感じさせてくれる。ただ、1個丸ごと食べると、さすがに、超すっぱい・・・自分の現代っ子すぎる舌を嘆きながら、僕は完食した。ついに6味目ゲットだ!

 

☆7:いま東京で一番アツい、あのタンメンの出番

とうとう東京に帰還。そんな2017年の東京の辛いものフリークが最も支持しているのは『蒙古タンメン』だろう。千葉から戻った足で品川店へ行ってみた。

14時台でも10人位待っているほど大人気。15分弱待って店内へ。そして蒙古タンメン大盛り(800+60円)着丼。

辛い、ウマい。辛い、ウマい。そんな、天国と地獄を行き来する葛藤を楽しみながら、どんどん食べ進める。同時に野菜と麺とマーボーの三者を行き来する、ウマさの三重奏も堪能!

そして完食。リベンジ成功。その後、蒙古タンメンが使っているとマニアの間で有力視されている唐辛子を取り寄せる。黒岩食品のハミングスパイスだ。

とうとう7味目!7つ揃った!!

 

【ついに、関東の七魂が詰まった七味唐辛子をつくる】
やっと、やっとの思いで七味唐辛子が作れる!甘夏は予め、ピーラーで外の薄皮を切っておいて、天日干しにしていた。これらをミキサーへ投入!

 

 

どうにかこうにか、全て粉にできた!

どうだ、一都六県制覇やー! 嬉しくて勝手に感慨に浸る。関東のソウルフードの一つ一つの風味が、七味唐辛子に宿る…

楽しみ半分、これでマズかったらどうしようと怖さ半分。

いよいよ七味の調合。思ったより八角の香りが強いので、入れるのはほんの少しにして、あとは蒙古タンメン唐辛子の一味をメインに、それぞれを振り分ける。

とうとう完成だ!定価は27358円!(これを作るのにかかった総額)

いちいちパッケージも作り込んだぞ~!

そしてこの一都六県のソウル(魂)が入った唐辛子を頂くのは、俺たちのサッポロ一番みそラーメン。そしてそれを食べるどんぶりは、ドラゴ◯ボールのシェン◯ンよろしく、おなじみ龍のどんぶりだ(Amazonで1095円

出来上がったラーメンに・・・、関東一都六県が生んだ、ある意味で究極の七味唐辛子を思い切りふりかけまくる!

そして、緊張の実食。

 

・・・まあまあウマい!けっこうウマい!

蒙古タンメンとニュータンタンメンの夢のダブルとうがらしの競演に、甘夏の陳皮と八角のプ~ン!とする強く爽やかな香りを演出。

さらに干し納豆の大粒の食感と、納豆独特の味が加わり、面白カオスを醸し出してる。なんか普通の七味より、全体的に香り高さが大きくアップしてる感じ。ゆず七味を良くも悪くも強烈にクドく複雑にしているような不思議な七味に仕上がった。

それぞれ、七味の各々の活躍っぷりを表にすると、こんな感じ。

 

まあまあの味になったということで、これをヤフオクに出品してみる。

(オークションページはこちら)

 

定価27358円の『究極の七味唐辛子』なわけですが、味のほうはぶっちゃけ、100円のエスビーの七味唐辛子と比べて・・・良い勝負です!(でも100円の奴より香りは良いぞ)

 

ヤフオクで4月2日現在、もちろん売れていないこの七味唐辛子。万が一、いや億が一これが売れるような事があれば、それこそホントに「シェンロンに願いを叶えてもらった」ときでは無いだろうか。

 

だが、その日は来ないことは、さすがにこんな僕でもわかっている。

 

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